前回の記事でビットコインの8月の分裂までの経緯をまとめてみました。そこで今度はその後、今回の11月のSegwit2xとは何だったのかをまとめていこうと思います。
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ちょっと待って、その前にも一度ビットコインの分裂があったよね?ビットコインゴールドへの分裂って何だったの??という疑問を持っている人もいるかもしれないのですが、ビットコインゴールドの分岐はこの一連の騒動とは無関係なのです。気になる方は別記事にビットコインゴールドのことを以前書いているのでそちらを参照願います(人´口`)
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それでは今日の本題に入ります( ´艸`)
Segwit2xのその後
前回の分裂騒動時に解決策として出されたSegwit2xでしたが、その後どういう状況にあったのでしょうか?
Segwit2xの発端は前回書いていますが、
ブロックサイズ拡張を推奨するマイナー達
Segwitの有効化を推奨するコア開発者達
の対立が続き、ひとまずSegwitを実装して、その後でブロックサイズを拡張しよう、という妥協案がSegwit2xでした。ニューヨーク会合でこれが決まった時点ではこのブロック拡張のハードフォークは11/16前後に行われる予定でした。
しかし、上記の流れである程度のビットコイン関係者の支持を得て決まったと思われるSegwit2xの計画ですが、この時点で既に問題点がいくつかありました。
Segwit2xの問題点
問題点①コア開発者の賛同が得られていない
このSegwit2xの案が通ったニューヨークでの会合に参加していたのは、大手のマイニングプールやビットコイン取引所などのブロック拡張を推奨する人達の思惑が強く反映されています。そしてこの会合にはコア開発者は参加しておらず、コア開発者の人達からすれば、Segwitの実装は出来たものの、このニューヨーク合意で決まったブロック拡張については「そんなの認めていない」という状態なわけです。
問題点②リプレイプロテクションがない
11月のハードフォークで分岐する予定の通貨(名前は決まっていなかったのでビットコイン2Xと呼んでみます)にはリプレイプロテクションがついていないのです。
チェーン分岐時に送金者が分岐前の通過を送金した際に、意図せず分岐後の通貨も送金したことになり資金流出を起こすことが出来るリプレイアタックと呼ばれる攻撃方法があります。技術的なことは難しいので私はここについては正直あまり理解していません( ̄◇ ̄;) とにかく分岐時に送金を行うと新通貨がハッキングで盗まれる可能性がある、ということのようです。
ビットコインキャッシュが分裂した時にはこのリプレイプロテクションをきちんとつけて分裂してるんですよ。なんで今回のSegwit2xにはついていないのか?技術的に不可能だったのではなく、Segwit2x派がリプレイプロテクションの実装を拒否したらしいのです。
その真意は不明ですが、ビットコイン2xを本物のビットコインにしたいから、だとかコア開発者達への嫌がらせだとも言われています。
その他の問題点
他にも、Segwit2xは開発者が一人しかいないとか、開発がまだ全然進んでいないとか、噂の範疇も多いのですが色々と問題が指摘されていました。
ちなみに、今回の分裂は無料でコインが貰えるイベントではない
今の仮想通貨界は、「よく分かんないけど儲かるってきいてビットコイン買った」人が結構な割合で紛れてます。それで、今回のSegwit2xもビットコインキャッシュやビットコインゴールドと同じように新しい通貨が貰えると本気で思ってた人達がいたみたいですが(エイミーも最初そう思ってたけど(゚Д゚;))、これは違うんです。
Segwit2xはこれまでの分裂とはだいぶ違います。詳しいことは長くなるので一旦割愛しますが、この分裂でビットコインは価値がゼロになってしまう可能性もあったんです(O_O)
コア開発者はSegwit2xを非難
多くのマイナーからの支持は得ているものの、こうした問題などを抱えるSegwit2xです。コア開発者を含めた一部のビットコイン関係者はこれに反対しています。
10月には、Bitcoin.orgにSegwit2xに対する警告内容が載せられました。
https://bitcoin.org/en/posts/denounce-segwit2x
Bitcoin.orgはコア開発者が運営し、ビットコインに関するニュートラルで正しい情報を提供するサイトです。ここにSegwit2xを非難する内容の記載が出ました。
非難の内容は要するに、Segwit2xがいかに危険なものかをユーザーに周知し、ビットコイン2xをビットコインとは認めない、今まで通りの旧ビットコインを支持し続ける、ビットコインはマイナーにルール付けされるものじゃないんだぞーというような内容です。
対立が続いた結果のSegwit2x延期
こうしたSegwit2x支持派と、反対派が存在していましたが、結局11月に予定されていたハードフォークは延期となったことが先日発表されました。公式声明文はこちら。
あんなに世間を騒がせてたんですけど、「やっぱりSegwit2xは一旦やめまーす」となりました(´・ω・`)
なぜSegwit2xは延期になったのか?
そしてこの一連の経過について、エイミーの思うところをふり返ってみたわけです。
Segwit2xへの充分な同意が得られていない
なぜ中止になったかに関しては声明文の中ではブロックサイズの拡張に対して充分な同意が得られていないため、とあります。
ニューヨーク会合の時点ではマイナーの大多数(およそ9割)がSegwit2xに同意していたのですが、その後は離脱を表明している企業やマイナー達も出ていました。なので結局のところどのくらいの支持が得られているのかは不明というか、実際かなりの支持が失われていたことが予測されました。
ビットコインキャッシュの存在
今回のハードフォーク延期で大きな意味を持つ存在がビットコインキャッシュだと思うのです。
ビットコインキャッシュって結局のところ、ニューヨーク会合でSegwit2xっていう折衷案というか妥協案を打ち出したのに、それを無視して神風的にハードフォークして抜け駆けしました、みたいな存在だと思うんですよね。
となると、既にブロック容量上限8MBに拡張済みのビットコインキャッシュがあるのに、11月にわざわざもう一度ビットコインをハードフォークして、たかが2MBへのアップデートを行うことに意味があるのか?となります。勿論このクラシカルな方のビットコインを守り続けるためには必要なのかもしれませんが、マイナーなどの利権者からすれば「儲かればいい」世界なわけで、別にクラシカルなビットコインにこだわる理由はないのです。というわけで逃げ道的に作られたビットコインキャッシュですが、ビッグブロックを主張する人達はこちらに行けばいいということになってしまいます。
しかもこれだけリプレイプロテクションがないだのと色々問題が騒がれて、結局どのくらいの人がビットコインを支持しているのか分からない状況で、わざわざ色んな意味でリスキーなSegwit2xのハードフォークを行うメリットが少なすぎます。
つまり、ニューヨーク合意の時と大きく変わってビットコインキャッシュの存在はかなりビットコインには辛い状況でした。
ビットコインキャッシュの値上がり
今回のハードフォーク中止の経緯でビットコインキャッシュの存在が大きく関与していそうと書きましたが、この構図が分かっていると、ハードフォークが中止になった途端、ビットコインキャッシュの価値が高まっていくのは納得です。
ブロック容量拡張しないならビットコインキャッシュでいいんじゃーん、的な資金流入があり、そういう噂が飛び交えば追い風的にどんどん資金が流入されていく可能性ありますもん。
というわけで、後の祭りだけど、BCHもうちょっと仕込んでおくんだったなぁと、ちょっとしょんぼりしているエイミーです( •́ .̫ •̀ )
