雑記

医療AIの研究の障壁となるもの…ブロックチェーン技術が解決するかも?

こんにちは!

一ヶ月半ほど前になりますが、NatureにAIの医療分野への利用と、そのためのブロックチェーンの活用についての記事がありました(*´艸`)

AI researchers embrace Bitcoin technology to share medical data

https://www.nature.com/articles/d41586-018-02641-7

Nature 555, 293-294 (2018)

この記事が面白かったので、記事の要約を書いてみましたー!

記事の要約と解説

医療分野へ人工知能技術を利用していこうとする試みは近年色々と議論の生まれているところだと思います。なかでも、画像診断分野はAI技術の導入についてかなり研究されている最中です!

医療分野の人工知能研究とその課題

医療分野での人工知能の利用についてこの記事での1例として、人工知能(AI)が数百万枚のマンモグラフィから乳癌を見つけるアルゴリズムを獲得できれば、医者よりも正確に乳癌を発見することが出来得ると考えられています。

しかし、ここで障壁となるのは大量のマンモグラフィ画像データを集めることです。医療情報はとても機密性の高い情報のため、多くの国においてプライバシー保護法のために、研究者やテック企業がアクセス出来るデータには限りがあります。

ロンドンのAI企業であるDeepMindという企業を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか?DeepMindは現在はAlphabet社(Googleの親企業)に買収されているのですが、少し前にGoogleのAlphaGoが囲碁のプロに3戦3勝を成し遂げたことで話題になりました。

DeepMindは囲碁の研究ばかりしているわけではなく、医療へのAI応用についても研究を進めています。

ただ、2016年には少し議論の出るニュースも出ます。

Google received 1.6 million NHS patients’ data on an ‘inappropriate legal basis’

英国のNHS(イギリスの国民健康保険制度)と提携して、医療応用のための基礎データを集められる環境にありました。ところが、このデータ提供に関して、患者160万人のデータが適切な同意なしに提供されていたとのことで議論の対象になっていました。

この時に提供された医療データの中には名前は勿論、例えば性感染症への罹患歴などかなりセンシティブな情報も含まれていたようです(O_O)

機密性の高い情報を安全に共有するためのブロックチェーン技術

というわけで、囲碁でプロに勝つためのAIを構築するためには過去の棋譜を学習させていくのだとは思いますが、棋譜のデータにプライバシーも何もありませんから、こうしたデータを集めることに関しての敷居は比較的低いわけです。

ところが、医療分野でのAIを作るためには、どうしても患者の個人情報が必要になります。

この問題の解決策として、医療情報を研究者達と容易にかつ安全に共有しながら管理するためにブロックチェーンを利用したシステム構築に取り組んでいます。そのシステムは間もなく試験段階に入る予定なのだそうです!

最近は取引所やウォレットのハッキングなどのバッドニュースも多いですが、本来ブロックチェーン自体は理論上ハッキングしたり情報を書き換えたりすることは不可能に近い技術です。

また、システム上で患者が自分で自分の情報に対してのアクセス権の許可をすることも可能になります。そうしたシステムを構築しようとしているのが今回の試みになります。

現状と今後の目標

記事によるとHadleyらのチームは5月までにマンモグラフィーを用いて乳がんを発見するAIアルゴリズムを作成する研究に着手する予定とのことです。

健康な女性から乳がんをもつ女性まで、300万〜500万枚のマンモグラフィーをAIの深層学習に用いたいと考えているようです。その目標とするところは、医者よりも詳細に正確に腫瘍の診断・分類が出来るようになることです。人工知能の研究をするからにはそのくらいを目指さないとダメですものね。

放射線読影医が経験とともに自分の読影スキルを高めていくのと同じように、アルゴリズムの正確性は、より多くの多様なデータを用いることで高まっていくとされています。

その他の試み

他にも、こうしたブロックチェーンベースのマーケットを開発しているグループがいくつかあります。

ハーバード大学の遺伝学者であるGeorge Churchが立ち上げたスタートアップ企業である、Nebula Genomicsもこうした取り組みを行う企業の一つです。

Nebulaはゲノム解析をして欲しいと思っている人と、希望者のゲノム解析を行う代わりにその情報を収集したいと考えている企業とをつなぐことを目的としています。利用者からすれば、自分のゲノム解析をしてもらうためにはお金を払わなければいけないのですが、Nebulaを利用すればこの解析結果へのアクセス権を売ることで同時に収入を得ることが出来る可能性もあるのです。

ゲノム解析×ブロックチェーンといえば、先日記事にしたShivomもその一つです!

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まさにトークンエコノミーの世界です(*´艸`)

Nebulaについても、こうした金銭のやり取りは、USドルと変換されるデジタルトークンを利用して行えるようになる予定のようです。

おまけ:AIについてもっと知りたいと思ったら

なんとなくAIという言葉が色々なところで使われていて、漠然と機械的に仕事をこなしてくれるロボットのようなイメージしかない方もいるかもしれません。

AIってそもそも何なのか?

医療とAIについても私は興味ありありの分野なのですが、AIについてはこの本がとても分かりやすかったので紹介しておきます。

ってかこの本今Kindle版だと500円以下で買えるんですね(O_O) めっちゃお買い得だと思います(^_^;

人工知能の研究が注目されているのは、いわゆる「ディープラーニング」という技術に注目が集まり始めたからです。

機械学習という技術自体は随分前から研究されていました。ところが、ディープラーニングが誕生する以前の機械学習とは、例えば沢山の放射線画像から癌の特徴となる項目を「人間が」設定してあげる必要があった。つまり、「どの特徴に注目して情報を取り出すべきか」に関しては人間の手が必要でした。これは画像からの機械学習を行うにはとても困難であったことを意味しています。

そして近年AIが注目され始めているのは、コンピュータが与えられたデータから注目するべき特徴を見つけて、その特徴の程度を表す「特徴量」を得ることが出来る技術が開発され始めたからなのです。

AIは私達が思ってる以上に何でも出来るのかも?

ちなみにですけど、「AならばBする」「CならばDする」というif形式のようなことはプログラミングで出来るわけです。

「平均血圧が60以下になったらエフェドリンを入れる」
「SpO2が下がったらPEEPを上げる、PEEP8まで上げてもダメならFiO2を上げる」

こう考えたらほとんどの麻酔の維持もコンピュータのプログラミングで出来るんですね。笑

本当にAIのディープラーニングが可能になったら、患者背景から手術内容、実際の進行状況、オペレーターの腕…などなど色んな要因を機械学習させて、実際の麻酔科医がやるのと同じようなことが出来るようになるんだろうなぁと思ったりもします。

そういうわけで、医者の仕事もいつかはAIに取って代わられる!なんて話をする人もちらほら聞くので、Twitterアンケートを使って実際医者AIについてみんなどう思うのかを調査してみました!

本当はこの記事の最後に結果を載せようかと思っていたのですが、予想以上に面白い意見が沢山集まったので次回の別記事ブログでまとめて紹介しますね(*´艸`)

ABOUT ME
エイミー
手術室にこもって麻酔かけてるお医者さん。投資や経済学に興味があって、仮想通貨やブロックチェーンなどのテック系にも興味があります。書きたいことをつらつらとブログに綴る雑食趣味ブロガーです(*´艸`)最近は医療系ブロックチェーンの解説とかもしてます。 詳細プロフィールはこちら Twitterも→Follow @amy_honobono