仮想通貨考察

日本発AIを活用した医療系ベンチャーNAMのICO開始!WPを読んでみて思うこと

こんにちはー!エイミーです!

先日2018年1月28日より、日本発の医療系ベンチャーNAMの開発するNAMコインのICOが始まりました。NEMコインじゃないですよ(´・ω・`)

TwitterのフォロワーさんからもNAMコインってどう思いますか?という質問をいただきましたし、医療とブロックチェーンのコラボを推奨したい私はとりあえずNAMコインのホワイトペーパーを読んでみました。

というわけで今日はNAMコインの掲げる事業について私見を交えて解説しつつ、WPを読んで私が感じたこと、自分の投資判断についての3本立てを率直な意見として書いておきます。

NAMコインについて

株式会社NAMはCEOである中野哲平氏(慶応医学部2017年卒)が立ち上げた、AIを活用した医療改革を目指す、日本発の医療系ベンチャー企業です。Nakano AI Medicalの頭文字を取ってNAMという会社名になったそうです。

NAMがこれから手掛けていく事業について、ホワイトペーパー(日本語)の中では次のような内容が挙げられています。

  1. 人工知能を利用した問診ボット
  2. 機械学習を利用した疾患予測モデル
  3. NAMコインを利用した人工知能が推奨する健康食品
  4. 深層学習とブロックチェーンを使った次世代カルテシステム
  5. NAM AIクリニックの開業

NAMの主テーマはAIを活用した医療です。そしてこのプラットフォーム上で使えるNAMコインというトークンのICOが今始まっています。

人工知能を利用した問診ボット

中野氏は現在の医療の問題点として、外来では患者の経過が分からないという問題点を挙げています。

高血圧や糖尿病などの慢性疾患患者は自覚症状がないと継続受診率も悪くなります。一度病院に来た患者がもう一度来なくなった場合も、患者が良くなったのかそれとも別の病院に受診したのか、という情報は分からないままになってしまいます。

そこでNAMコインの問診ボットは、まずは患者がそれぞれの症状に対して病院を受診すべきかどうかの判断をアドバイスしてくれます。更に一度受診した患者に対して経過を尋ねて、再受診すべきかどうかの判断もしてくれます

また、症状が良くならなかった場合に患者は「どうせ同じ病院に行ってもダメだな」と思い、他の病院に受診することもあります。でもこれって実は一番医療者にとって困るんですよね。前の病院の治療で満足しなかったからと言って他の病院に行っても、前医で出された薬や治療経過が分からないとどうすれば良いか分からなくなってしまいます

そこで「薬を見せて」「カルテを見せて」とボットに話しかけることで、自分の医療情報が見られるようにもなるのです。

AIを用いた問診・診断というのは色々なところで研究されている分野ではありますが、NAMの問診ボットが目指すのはあくまで「病院を受診すべきかどうか」の判断をしてくれるボットです。私もブログ書くために自分で使ってみましたが、YES or NOの質問でいくつかの回答パターンがあるフローチャートみたいなものなので、ディープラーニングによるAIとはちょっと違うと思いますね。

個人的には、この病院受診判断を教えてくれるボットのクオリティは、「まぁこんなもんだよね。」って感じです。笑 でも患者目線で言えば医師の「重たい病気ではなさそうですよ」は一つの安心材料になるんですよね。

それに、医療者にとっては経過が分かるっていうのはすごく良いと思うんですよね。私も研修医時代は救急でも沢山外来患者さんを診察しました。ほとんどの患者さんは一回来たきりで、リピーターはほとんどいないのが普通ですが実際には良くなったから来なくなったのか、あるいは重症化して他の病院に行ってる可能性も考えられるわけです。

「後医は名医」なんて言葉があるように、初診時に診断がつかなかったり、診断を誤ったりすることはあります。初期段階では症状が揃っていないことも多いですし、これは誤診とは言いません。あの先生は何ともないって言ってたけど、全然良くならない!別の先生に診て貰おう!っていうのは一番双方にとってマイナスです。医療者も自分の診断へのフィードバックが得られないって勿体ないと思うんですよね。

こうしたボットのみで詳細な経過を調査するのは難しいかと思いますが、こういう経過を把握出来るのって臨床研究の面でもすごく有用だと思うんですよね。治療効果や、診断基準の有用性などを検討するのにはすごく良いと思うんです!なのでこれは上手く働いてくれると良いなーと思います。

更に冒頭でも書いたような高血圧などの自覚症状はないけど放っておくと後々重病のリスクが高まるような慢性疾患についても、このボットがあることで患者にとっても「あぁまた病院行かなきゃな」っていう意識がついてくれれば良いなと思います。

機械学習を利用した疾患予測モデル

いわゆる「リスクファクター」なんて言葉を私達はよく使いますが、ある疾患になりやすい人、なりにくい人っていうのがいるんですよね。それは遺伝性の先天的なものだったり、普段の生活習慣で変わる後天的なものだったりします。例えば糖尿病は「生活習慣病」と言われるくらいですから、普段の食生活や運動習慣などでなりやすさは変わるのですが、実は遺伝的な素因もかなりあると言われています。

そこで、糖尿病になっている人の遺伝子や過去の血液検査の結果などを健康な人と比べてAIに機械学習させることで、できる限り精度の高い「病気のなりやすさ」を計算出来るようにしようとするシステムを作ろうとしています。ホワイトペーパーでは具体例も色々と述べられていますが、こういう過去のデータを蓄積させて一般化させていくのはディープラーニングを可能とするAIと相性の良い分野だと思います!(*・ω・*)

思えばある疾患のリスクファクターや重症度分類の表って医学を勉強しているとよく出会います。

例えば肝硬変の重症度を分類するChild-Pugh分類という有名な分類があります。

臨床現場ではさまざまなモデルが既に存在している。例えばChild-Pugh分類という、肝硬変のグレードを分類し、それにより病気の予後を予測するものだ。しかしこれは五つの変数のみを対象に、医師が簡単に予後を見るスマートフォンがなかった時代の簡易的な指標に過ぎない

このように簡単な指標しか用意されていない理由は、ベッドサイドですぐに計算できるためだ。しかしこのレベルの予後予測をより正確に行うには、多くの入力指標がいる。我々は全ての病気の予後予測についてアプリケーションを開発し、患者と医師が病気の予後を正確に計算できる医療を目指す。

ホワイトペーパーにも記載はあるのですが、このChild-Pugh分類は今でも幅広く臨床で使われている指標です。これ自体も過去に肝硬変の予後に関連するような因子を調べた沢山の研究の積み重ねでできあがったものなのです。

だけど、ここにも書かれている通り、今はスマートフォンの普及で複雑な計算もベッドサイドで簡易に行えるようになった時代です。なので、これまでのデータをより詳細に分析して作るような指標が普及する流れがきっと進んでいくと思います!

深層学習とブロックチェーンを使った次世代カルテシステム

人工知能を使って医者と患者の会話から、内容を要約してカルテを自動で作成するようなシステムの開発も行っています。

確かに年配の先生(=電子カルテのタイピングに慣れていない)のカルテは読みにくい!笑 内容が全然まとまってなかったり、毎回これまでの経過がコピペされてるだけだったり…頼むから読む人のことを考えて書いてくれと言いたくなります。

ただ、こういうのを要約する作業って大変で無駄な時間も多分にあるけれど、要約することでドクター自身も内容を把握出来てる部分はあるとは思っているのでこの部分に関してはあまり共感出来なかった部分ですね…。これからのドクターは若いうちからパソコン作業に慣れている人が増えていくと思いますし(私もタイピングの速さには定評あります笑)、タイピングの時間自体がそこまでの時間ロスになっているのかな?という印象を受けました。

私も便利な新しいものはどんどん利用していこうと思っている派です。でも、こんな作業もAIにさせるって、もう医者っていらなくなるってこと?と思ってしまいます…(´・ω・`)

これ以外にもNAMの作ろうとしている電子カルテのメリットは沢山あるみたいですけどね。

NAMトークンについて

NAMコインはまず資金調達の段階ではイーサリアムプラットフォームを利用するが、後に独自のプライベートブロックチェーンを利用したトークンに移行していくと考えているようです。

独自ブロックチェーンを利用するとなると開発段階でかなりの資金が必要になりますからね、まずは開発コストの少ないイーサリアムのプラットフォームを利用して、資金が集まり次第独自チェーンの開発を進める考えなのでしょう。

独自ブロックチェーンはまだ開発段階のようですが、既存のチェーンの問題点を解決する点として、

  1. 採掘のインセンティブは、NAMコインであり、NAMコインは弊社のクリニックの健康診断、ゲノム検査、健康食品などに全て使える。
  2. CT, MRIなどのデータが大きいものは、分散ファイルシステムと関連づけて行うことで、ストレージの問題を解決。
  3. 通常のブロックチェーンシステムでは、プライバシーが漏れる→弊社独自の技術で、機械学習を使い高速化つ、安全なブロックチェーンを完成

といった特徴を挙げています。またスケーラビリティ問題などへセキュリティを高く保ちながら対応する方法としてオフチェーン技術を利用すると書かれていますが、SilentWhispersという既存手法を改良したものを開発中とのことです。技術に関しては私はまだまだ素人なのでこの部分の詳細は省きますが、独自チェーンの開発もかなり詳細に進められていることは分かります。

NAMのWPを読んでみて感じること

NAMは今回ICOという形で資金調達を行っていますが、ホワイトペーパーを読む限りはブロックチェーン技術を前面に押し出しているというよりも、AIを利用した医療の発展を目指していている企業という印象です。どちらかと言えばブロックチェーンの利用はICOとしての資金調達を行うための後付け事業のようにも感じてしまいました…。

ただ、私は初めてブロックチェーンを知った時からこれって電子カルテの共有とかに使ったら面白そうだなーと思っていましたが、実際最近増えてる医療系ICOの多くが電子カルテの情報共有の部分は事業として掲げているところが多いです。なので私がWPを読んだ印象としてブロックチェーン電子カルテの部分はあまり自分には響いてこなかったし、むしろAIを利用したボットや疾患予測モデルの部分に魅力を感じたので、そういう印象を受けているのもあるかもしれません。

このAIボットや疾患予測モデルが実際に実用化されれば、コスト面でのメリットも大きいですが、前述のように医学研究への貢献も大きくなると思います。

最近は単純なリスク表のスコアリングだけではなくて患者の詳細な情報を打ち込むことで、確率計算してくれるサイトってあるんですよ!少し余談にはなりますが、私は麻酔科医なので周術期の心疾患リスクのを色々な情報から計算してくれるNSQIPというリスクカリキュレーターを最近使ってみました。計算方式の詳細は分かりませんが、こういった精度の高い予測モデルが増えれば、必要以上の検査やモニターも不要になってコストの節約にもなりますし、患者としても対策が立てやすくなると思います。

投資対象としてのNAM

で、色々書いてきましたが、結局投資対象としてのNAMコインってどうなのよ、って話を書きます。

ホリエモンが推奨してるってほんと?

NAMコインについての記事を見ていると「あのホリエモンも絶賛!」なんていうタイトルがちらほら見られるのですが、NAMが掲載されたNewsPicksでのこのコメントを指しているみたいです。

興味は持ってくれてるのだとは思いますが、私はこれってNAMコインを投資として勧めてるのとは別問題なんじゃないかなぁと思いながら読んでいます(^_^;

トークンに価値がつくかは別問題

ホワイトペーパーを読んでいると全てに共感出来るわけではないですが、内容としてはすごく面白いと感じています。患者の経過を追うためのLINEボットや疾患予測モデルは頑張って研究開発を勧めてほしいです。

ただ、結局NAMコインがどんな場面で使用されるのかが決定打に欠ける気がします。NAM社クリニックの健康診断、ゲノム審査、健康食品などに使えるとありますが、これだけでどのくらいの需要がつくのかは疑問。なので、イマイチこのトークンに対して大きな価値を見いだせる気がしないんですよ。

ICOって資金調達する側からしたら返済義務もないし、株のように経営に口を出されるわけでもなく気軽に資金調達が出来る便利な方法だと思うんですよね。一方で投資家側からすれば配当権もないし、何の保証もない投資方法なんですよね。だからこそ詐欺みたいな案件が沢山ある。

こんなことを書くと怒られてしまうかもしれないのですが、NAMはメインは医療にAIを用いて革命を起こすことが目標で、資金調達のためにICO、ブロックチェーンを使ってるのかなぁという印象を受けてしまいました。

なのでこのAIを活用した事業は本当にすばらしいと思うんですよ!でも、それとICOの投資対象として良いかどうかは別問題だと思うのです。

ホワイトペーパーや記事が夢物語感

↑で紹介したNewsPicksの記事についても、

「医療ベンチャーのNAM、ICOで100億円の資金調達へ–AIを使った次世代診療とは」

これ100億円って目標金額ですよね?まだ何も始まってないのにまるでもう100億円調達したかのような…笑

また、ホワイトペーパーでも2020年までの目標利益が記載されていますが、

2020年までに営業利益1000億円の企業を目指す。市場規模とこの後の成長性を見て、決して不可能な金額ではないことは、上記で説明した。この数字を達成するために、弊社では革新的なサービスを随時打ち出していく。弊社の営業利益と連動し、NAMコインの価値が上昇することもシミュレートしている。

まだ資金調達も始まってない段階でこの利益目標はちょっと無理がある気がしてしまう。純粋に頑張ってほしいとは思うけども…(;´Д`)

NAMのCEO、中野氏について

中野氏はNAMの事業以外にもシーミアという会社の代表取締役にも就任しているようです。ただこの会社、調べてみるとすごくうさんくさい…。AIによる仮想通貨の自動トレードソフト、「AIビットトレーダー」を開発したとの記載がありますが、これググってみると怪しい情報商材っぽい臭いしかしない。。。

まぁとはいっても、中野氏のサイトを見ていると華々しい経歴が並んでいますし、慶応医学部卒業でありながら、安定の医者という道を捨ててまでこうしたすばらしい事業をしているわけです。ですから個人的にはわざわざこんなところでスキャムのようなICOはしないと思います。ただちょっと怪しい事業もやってるのかなぁ〜という印象を受けました。

あとは少しだけ補足しますと、中野氏の経歴について、慶応医学部卒と書かれているものの「医師」とは書かれておらず、医師国家試験には受かっていないのかな?という噂があります。正直このビジョンを実現するには国の医療制度も関わってきますが、医学部卒だけど医師免許を持っていないのって信用問題でマイナスになるのではと思います…。

まとめ

結論を言えば、NAMのAIを使った医療事業はすごく面白いと思いますし、頑張ってほしいです。日本発というのもありますし。

ただ、ICOでの資金調達は…なんだか後付けのような印象を受けてしまいますし、ちょっと危うい点も多くて投資判断としては見るなら私はナシだと思っています。でも儲けは考えず、応援の気持ち程度の少額だけ、入れてみようかなぁと考え中です。

以上でした!

ABOUT ME
エイミー
手術室にこもって麻酔かけてるお医者さん。投資や経済学に興味があって、仮想通貨やブロックチェーンなどのテック系にも興味があります。書きたいことをつらつらとブログに綴る雑食趣味ブロガーです(*´艸`)最近は医療系ブロックチェーンの解説とかもしてます。 詳細プロフィールはこちら Twitterも→Follow @amy_honobono